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アントロポゾフィーの源流

 ソクラテスはイデアの世界(精神界)を自らの精神によって直接的に認識し、そのために死刑判決を受けながらも、イデアの世界(精神界)の認識を説きました。
 プラトンもイデアの世界(精神界)を自らの精神によって直接的に認識し、イデアの世界(精神界)は物質の世界(物質界)の原像であり、永遠不変の真実の世界であると説きました。
 アリストテレスもイデアの世界(精神界)を自らの精神によって直接的に認識していましたが、アリストテレスはまた、以後の人間が益々物質の世界(物質界)のみに生きるようになることによって、後の人間はいずれイデアの世界(精神界)を自らの精神によっては直接的に認識できなくなることを認識していました。
 このためアリストテレスは物質の世界(物質界)のみに生きる後の人間が再びイデアの世界(精神界)を自らの精神によって直接的に認識することができるように準備をするために、感覚の世界(感覚界)に生きる人間のための認識法(アリストテレス自然科学と論理学)を用意しました。
 プラトンとアリストテレスはラファエロの絵画に描かれているように、共にイデアの世界(精神の世界)の認識について語り合いました。
 プラトンが説いたイデアの世界(精神界)は後にプロティノスによってネオプラトニズムとして展開され、スコラ哲学、薔薇十字会を経て普遍アントロポゾフィー協会に伝えられています。
 アリストテレス自然科学はヨーロッパではなく、アラビアに伝播し、近代自然科学の源流となるイスラーム自然科学が誕生しました。
 その後、ヨーロッパに伝播したイスラーム自然科学に対して、トマス・アクィナスはアリストテレス自然科学をスコラ哲学において再興しましたが、現代ではアリストテレス自然科学は近代自然科学の影に隠れてほとんど省みられることがありません。
 アントロポゾフィーでは、イデアの世界(精神界)と切り離されて物質の世界(物質界)のみに生きる人間が、それゆえに自由となった個人の純粋思考を通じて、アリストテレスが用意した論理的思考の道を通って、失われた人間としての精神を再び自ら再興するとともに、自らの精神によってイデアの世界(精神界)を再び認識することを目指します。
 アントロポゾフィー運動は、「唯物論と近代自然科学によって人間の精神が失われた」との悲観論を超えて、唯物論や近代自然科学によっては損なわれることの無い、自由となった「人間の精神」を再興または獲得する運動なのです。

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